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HCD専門家に認定されました

人を理解する試みから体験を設計する

2025年、HCD-Net認定 人間中心設計専門家として認定されました。
HCDとは、Human Centered Designの略で、日本語では「人間中心設計」と訳されます。
ユーザーの行動や利用状況、迷い、判断のプロセスを理解することを起点に、サービスやプロダクト、情報設計、体験を改善していくためのアプローチです。調査、分析、設計、評価を繰り返しながら、人にとってより使いやすく有用な体験へ近づけていくプロセスとして実践されます。
> HCD-Net認定:認定者数・合格率・応募者業種

HCDは、単に操作しやすい画面を作るためだけの手法ではありません。
ユーザーが何を見て、どこで迷い、どのような判断材料によって行動に至るのか。
そのプロセスを観察し、顕在化していない課題も含めて整理し、ある程度納得感のある体験や方向性を示していくための実践体系になります。

これまで私は、企業の新規事業開発、DX支援、ブランディングの立案や再構築、サイトの立ち上げやリニューアル、エンタメ領域を含むUX改善、デジタルマーケティング、データ活用、教育領域まで、様々なプロジェクトにPMまたはディレクター、ときにはデザイナーとして関わってきました。

それらの仕事では、表面的なデザインや軽い改善施策だけでは解決できない課題が多くあります。

例えば、情報は入れてあるのに、伝わっていない。
ツールは揃っているのに、使われた形跡がほとんどない。
施策は実行されているのに、ユーザーの行動につながっていない。
関係者のあいだで、課題の捉え方や判断基準が揃っていない。

そうした場面で必要になるのは、ユーザーや関係者の認識、意思決定、行動の流れを観察し、見直していくことです。

これまで、調査や分析、ヒアリング、インタビュー、アクセスログ、ユーザー行動の整理をもとに、情報構造、導線、コンテンツ、ブランド表現、改善プロセスを設計してきました。
また新規事業立案においては、顧客課題や市場、利用シーンを整理し、提供価値やサービスコンセプトへ落とし込む支援にも取り組んできました。

HCD専門家としての認定は、一見すると些細に見える観察や、実務の中で積み重ねてきた判断を、改めて人間中心設計の視点から捉え直す機会となりました。

AIやデジタルは、効率化や自動化の道具にとどまらず、人の判断、記憶、感情、身体感覚、関係性のあり方にまで入り込んでいます。
技術をどう実装するかだけではなく、それが人の認識や行動をどう変えるのかを観察すること。
その視点は、HCD専門家としての実務だけでなく、美術作品制作を含む領域横断的な実践や研究にも活かしてきました。

美術作品を制作するとき、私は目に見えているものだけではなく、その奥にある感情、違和感、記憶、時間、社会との関係を観察しています。
はっきりと言語化されない曖昧なもの、まだ形になりきらない状態と向き合い、それを少しずつ立ち上げていく行為でもあります。

人を完全に理解することはできません。
それでも、理解しようと試み続けるために、体験を設計する。

ただし、美術制作においては、すべてを意味に還元しすぎないことも大切だと考えています。
見ること、感じること、違和感を受け取ること。
言葉にしきれないものを、言葉にしきれないまま扱うこと。
その行為の連続でもあります。

美術作品制作とHCDは、一見異なる領域に見えます。
けれど私にとっては、どちらも「人や社会を観察し、見えにくい構造を可視化する行為」です。

HCDに興味のある方は、HCD-Netのサイトもぜひご覧になってみてください。
人間中心設計の考え方や認定制度、実践に必要なコンピタンスなどが紹介されています。

HCDは、デザイナーやUX担当者だけのものではなく、サービスや事業、組織、表現に関わる人にとっても、多くの示唆を与えてくれる領域です。

人を理解しようとすることから、体験を設計する。
これからもその姿勢を大切にしながら、仕事と美術制作の両方に向き合っていきます。

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